“コンデンサー”と“キャパシター”2016年11月11日

最近、“キャパシター”という用語をよく目にするようになりました。クルマのエコ技術を構成するデバイスの一つとして使われているものであり、大容量の蓄電器(コンデンサー)のことなんだそうです。

私がキャパシターという用語は初めて知ったのは、大型車メーカー(当時の日産ディーゼル工業(株))が2002年に中型トラック用に開発した“ハイブリッドシステム”を発表したときです(発表記事はこちら、詳細な技術解説についてはこちら)。

中型トラックのエコ技術
                  ※ この図はこちらからの引用です。

最近では、マツダの減速エネルギ回生システム“i-ELOOP”(詳しくはこちら)に電気二重層キャパシター(図中の“EDLC”)が使われているようです。
 
乗用車のエコ技術例
                  ※ この図はこちらからの引用です。

また、ホンダのアイドリングストップ機構やトヨタのハイブリッドシステムにもキャパシターが使われているようですが、これらについては詳しい情報を得ることができませんでした。

このように2000年代になってからエコ技術関連でキャパシターが注目されるようになりましたが、この用語は決して新しいものではないみたいです。“キャパシター”と従来から蓄電器の意味で使われている“コンデンサー”は、どのように違うのか調べてみました。

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広辞苑第4版では、「コンデンサー: 蓄電器、復水器、集光鏡」とありましたが、キャパシターの用語は収録されていませんでした。

いっぽう、英和辞書で調べると、
キャパシターについては「コンデンサー、蓄電器」と説明されており、
コンデンサーについては「液化装置、凝縮装置、凝縮器、集光レンズ、集光装置、蓄電器、濃縮器、復水器、要約する人、冷却器」と説明されています。

また、英英辞書で調べると、キャパシターについては
  a piece of equipment that collects and stores electricity
と説明されており、コンデンサーについては、
 ① apparatus for cooling vapour and condensing it to liquid
 ② mirror or lens that concentrates light, eg in a film projector
 ③ apparatus for recieving and accumulating static electricity
と説明されています。

どうやら英語圏では、「蓄電器」のことを指す用語としてキャパシターが使われており、コンデンサーという用語は「液化装置」や「集光レンズ」などの広い意味で用いられることが多いようです。もちろんコンデンサーには「蓄電器」の意味も有しているのですが、蓄電器のことは言う場合にはキャパシターを使うのが一般的なようです。そう言えば、自動車用エアコンの放熱器(ラジエータの前に取り付けてあるもの)もコンデンサーって呼ばれていますよね。

ネットのウィキペディアによれば、「コンデンサ(蓄電器、羅: condensare、独: Kondensator、英: capacitor キャパシタ)とは、静電容量(キャパシタンス)により電荷(電気エネルギー)を蓄えたり、放出したりする受動素子である」と説明されています。つまりコンデンサーの語源はラテン語やドイツ語、キャパシターは英語ということなんですね。

またネット辞書「大車林(技術用語)」によれば、「キャパシターとは電気2重層を用いたファラッドオーダーの超大容量コンデンサーのこと」と説明されています(詳しくはこちら)。
私はこれまで、強電分野ではキャパシターと呼び、弱電分野ではコンデンサーと呼ぶように何となくイメージしていたのですが、このような私のイメージはネット辞書「大車林(技術用語)」の説明に近いですね。

ちなみに、最近では日本でも蓄電器のことをコンデンサーではなくキャパシターと呼ぶように徐々に変わりつつあるとのネット情報がありました。初めは技術分野に定着し、次第に一般用語として定着していくのかもしれませんね。

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