準天頂衛星の整備2017年06月14日

今月1日、ナビなどの測位精度の向上が期待される「みちびき(準天頂衛星システム)2号機の打ち上げが成功した」とのニュースが報じられました。

この“みちびき”というのは、日本の上空を含む“準天頂軌道”を回る衛星です。“準天頂軌道”というのは、ずぶの素人の私には正確に理解するのは困難なのですが、西太平洋地域の上空を8の字を描くように周回する軌道のことなのだそうです。
 
準天頂軌道

この“みちびき”の整備を進めることにより、現在使われているGPS衛星と併用すれば測位精度を大幅に向上することが期待されているのだそうです(詳しくはこちらを参照してください)。

内閣府/宇宙開発戦略推進事務局のホームページによると、“みちびき”の整備に関する経緯と今後の計画については、以下のようになっているようです。

  ●“みちびき”の初号機は2010年度に打ち上げられ、「技術実証・利用実証・運用」に関する
   検討が行われてきた。
  ●2011年9月の閣議において、「4機体制を整備し、7機体制を目指す」ことが決定され、
   2013年1月の「宇宙基本計画」においても重要な政策と位置づけられてきた。
  ●政府は追加3機の開発を決定し、2018年度から4機体制で運用することとなった。なお、初号機
   を含めた4機の運用は、“準天頂衛星システムサービス株式会社”が行うことになっている。
  ●2015年1月に策定された新たな「宇宙基本計画」において、「2023年度をめどに持続測位可能な
   7機体制での運用を開始する」と決定されている。
 
みちびきの整備計画

“みちびき”の整備計画によれば、今月初めの2号機打ち上げに続き、今年度中にあと2機を打ち上げるみたいです。

なぜ“みちびき”の整備が必要なのかと言えば、最近になってニュースにたびたび取りあげられている“自動運転技術”などの実現には現在よりもはるかに精度の高い測位技術が必要になることが一つの理由だと考えられます。

現在のGPSを使った場合の誤差要因として、
  ①衛生数が少ないことによる誤差
  ②電離層による誤差

が考えられています。

上記①の中でも、「マルチパスによる誤差」は現在のGPS(日本では低仰角になってしまう)だと避けがたく、高仰角の“みちびき”を併用することにより、測位精度が大きく向上すると期待されているようです。
 
マルチパスによる誤差

上記②については、「複数の周波数の電波」により大きく改善できるとされており、“みちびき”では数種類の周波数の信号を出すようにしているみたいです。
 
電離層による誤差


“みちびき”の本格運用は2018年度からという計画になっているのですが、最新型のナビでは「みちびき対応」を謳っている商品も出始めているようです。

測位精度が大きく向上したときのナビだと、どのような形で経路誘導してくれるのか興味深いですね。