蓮田で使う水2013年03月18日

蓮の栽培では、稲作と同じように田んぼに水を張ります。稲作の場合、収穫期以降には水を抜きますが、蓮の栽培では収穫期でも、収穫後でも水を張ったままです。さらに、レンコンを掘り起こすのに圧力をかけた水を使い、掘り起こしたレンコンをその場で洗浄するのにも水を使います。

このように、蓮栽培においては稲作以上に水を使うので、その供給が大変重要と考えられます。これまで散歩の途中で何となく蓮田における農作業の様子を眺めているだけでは気付かなかったのですが、こうやって改めて考えてみると蓮田に水を供給することは大変重要な課題なんですね。

今回のブログでは、蓮田への給水について私なりに理解できたことを紹介したいと思います。


◆灌漑用の水
散歩の途中で、次のような工事中の看板を見かけました。どうやら、蓮田の灌漑用パイプラインを作っているようです。
パイプライン設置工事

稲作の場合には、用水路から田んぼに水を引き込んで灌漑するのが一般的だと思われますが、蓮田の場合にはパイプラインを使って田んぼに水を張るみたいです。

パイプラインの灌漑設備では、霞ヶ浦から取水し、要所要所に設置された「揚水機場」で汲み上げてパイプラインに水を送り出します。次の写真は、その揚水機場の一つです。
揚水機場の全景

建屋に隣接した貯水槽から大型のポンプで水を汲み上げます。
揚水機場の取水口

建屋から出ている青いパイプ(写真参照)から水が送り出されます。
揚水機場の送水管

揚水場から送り出された水は、地中に埋設されたパイプラインを通って、個々の蓮田に流れ込みます。出口のところには蛇口があって、それぞれの農家が必要に応じて蛇口を開けば灌漑できるようになっています。
灌漑用水の供給口

すべての蓮田でパイプラインを使った灌漑をするのかと思いきや、必ずしもそうではないみたいです。パイプラインの灌漑設備があるのは、近年に農地整備された地域だけのようです。

稲作の田んぼと同じ方法で灌漑しているところもありました。次の写真は、小さな用水路を堰き止めて蓮田に水を張っている様子です。
用水路からの灌漑


◆レンコン掘り用の水
レンコンを掘るときは、圧力をかけた水を使います。
レンコン掘りの作業風景

水に圧力をかけるのにはエンジンで圧力ポンプを動かすのですが、パイプラインからの水を使うのかと思いきやそうではないんです。

次の写真に写っている吸い込み口(田んぼから垂直に突き出ているパイプ)は、地下水を汲み上げる井戸なんだそうです。
レンコン掘り用水の供給口

蓮田への水の供給源であるパイプラインの水をなぜ使わないのかと思って、農家の人に尋ねてみました。その理由は大きく2つあるとのことでした。
  *一つは、レンコン掘りの最盛期の冬の季節では、地下水の温度がパイプライン
   からの水よりもはるかに温かいので、作業しやすいという理由です。
  *もう一つは、パイプラインからの水は常時供給されているわけではないので、
   レンコン掘りのタイミングが制約されてしまうという理由です。

なるほど。何となくわかったような気になりました。理解できたところで、改めて蓮田を見ると、ほとんどの蓮田にはパイプラインからの取り出し口井戸水(地下水)の取り出し口があることに気付きました。
蓮田に設置された給水設備


◆レンコン洗浄用の水
掘り出したレンコンを洗うための水として、大きな水槽に地下水を汲み上げておきます。その水槽から小型の圧力ポンプで汲み上げて、レンコンを一本一本丁寧に洗浄します。
 
レンコン洗浄の作業風景

レンコンの洗浄にはそれほど多くの水量を使うわけではありませんので、写真に見られるような水槽に一旦汲み上げれば、少なくとも半日分の作業には使えるみたいです。