散歩時の“歩幅”2014年07月11日

前回のブログで紹介した“歩行ピッチ”と“歩行速度”に引き続き、今回のブログでは“歩幅”についての検証結果を紹介したいと思います。

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“歩幅”についての簡便な検証方法として、3種類ほどが考えられます。

一つ目は、“歩行ピッチ”と“歩行速度”の検証結果から計算により“歩幅”を求める方法です。二つ目は、“歩行ピッチ”と“歩行速度”の検証に利用した高速道路側道のキロポストを利用する方法です。三つ目は、市街地でよくみかける側溝の蓋を利用する方法です。

それぞれについての具体的なやり方と検証結果について、以下に詳述します。

(1) 歩行ピッチと歩行速度の検証結果を用いた検証
“いそぎ歩行”における歩行ピッチの検証結果は116歩/分、歩行速度の検証結果は83.33m/分でした。両者とも1分あたりの値ですので、
   《歩幅》=[歩行速度]/[歩行ピッチ]
という簡単な式により、歩幅を求めることができます。
   ※ “いそぎ歩行”の説明については、前回のブログをご参照ください。

算出した歩幅は、0.718m/歩となりました。この値は、これまで歩行距離の算出用に設定した値(0.72m)にほぼ一致しますので、これまでの歩幅設定値は妥当なものと言えます。

(2) 高速道路側道のキロポストを利用した検証
高速道路側道のキロポスト設置区間ごとに、“いそぎ歩行”における歩数を計測しました。結果は下表のとおりです。
歩幅の検証(いそぎ)

測定区間全体(600m)の合計歩数は829歩でしたので、測定区間全体の平均歩幅は 0.724 m/歩ということになります。

この方法による結果も、前述の(1)と同様、これまで歩行距離の算出用に設定した値(0.72m)にほぼ一致します。

参考までに、“のんびり歩行”したときの歩幅についても求めてみました。結果は下表のとおりです。
歩幅の検証(のんびり)
のんびり歩行の場合には、いそぎ歩行よりも歩幅が9%程度小さくなるようです。

(3) 側溝の蓋を利用した検証
この方法は比較的簡便にできることがメリットなのですが、歩幅の導出方法がちょっとだけ面倒になります。

具体的な計測方法と計測上のポイント、歩幅の求め方は以下のようになります。
 
側溝蓋の利用

①側溝の蓋のサイズが50cmの場所で行う。
 ※蓋のサイズは、50cm、60cm、100cmなどがあるが、歩幅が75cm前後であることが
  分かっており、75cmの場合には2歩で50cm蓋3枚相当となるので使いやすい。
②基準とする足(上の図では左足)の先端が基準位置(蓋の境界線)になったときを計測開始位置にする。
③基準足の先端が基準位置に同期するまでの基準足の歩数をカウントする。
 ※歩幅がちょうど75cmだと、同期したままの状態が続くことになる。歩幅が75cmよりも短いと、
  基準位置よりも少しずつ手前にずれてくる(上の図に示したケース)。
 ※基準足の先端が基準位置を過ぎたら同期したとみなす(同期の程度はピッタリでなくとも良い)。
④図中に示した式により、同期するまでに通過した蓋の枚数を算出する。
⑤次式により平均の歩幅を算出する。
   平均歩幅(m)=0.5×蓋の枚数/(基準足の歩数×2)

実際に測定しているときのイメージはこんな感じです。
計測イメージ

この方法により何回か測定した結果、同期するまでの基準足(片足)の歩数は7~11歩でした。真ん中の歩数(9歩)から歩幅を算出すると、0.722m/歩となります。

この方法による結果も、(1) (2)の方法と同様、これまで歩行距離の算出用に設定した値(0.72m)にほぼ一致します。

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以上の歩幅検証により、これまで使用してきた歩幅の値(72cm)が現時点でも妥当なものであることが確認できましたので、今後もこの値を使っていくことにします。

【雑感】
“いそぎ歩行”に対して、“のんびり歩行”は数十%の違いがあるのかなという感覚でいました。しかしながら実際に計測してみると、歩行ピッチ、歩行速度、歩幅のいずれにおいても10%弱ほどの違いしかありませんでした。この結果は意外でした。