起床直後の血圧への影響要因2015年03月17日

昨年の9月27日のブログでは、“起床直後の収縮期血圧(最高血圧)”と“居住地域の最低気温”との相関について紹介しました(詳しくはこちら)。

このときの血圧変化に関する内容は、「最低気温が下がると起床直後の最高血圧が上昇する傾向がみられる」というものでした。さらに、その傾向を直線近似することにより、「最低気温が10℃下がると血圧が8mmHgほど上昇する」という変化の程度も知ることができました。


この結果を得た後、「外気温に応じて最高血圧が変化するのなら、室内温度との相関を調べればもっと直接的に影響が出て高い相関を示すのでは?」と考え、起床直後の血圧測定に併せて“起床時の室内温度”も記録することにしました。

昨年の9月からこの3月まで記録したデータから、“起床時の室内温度”に対する“起床直後の最高血圧”をグラフにすると、次のようになります。
室温に対する最高血圧

残念ながら予想したような結果にならず、室内温度が低くなると最高血圧が高くなる傾向が何となくあるように見えるものの、明確な傾向を見出すことはできませんでした。

昨年の冬には、起床時に石油温風ヒーターのみをタイマー作動させて起床前に部屋を暖めていましたが、暖房能力が不足していたことから外気温が低いときには起床時の室内温度が7℃くらいまで下がることがありました。一方この冬には、石油温風ヒーターに加えてエアコンをタイマー作動させたので、外気温がかなり低いときでも室内温度は10℃を下回ることがありませんでした。このようなタイマー暖房を強化した影響もあったのかもしれません。


この冬の或る日に、起床直後の最高血圧に影響を与える要因として、“ストーブにあたって身体を温めること”があるのではないかと閃きました。起床直後に血圧を測定してから、石油温風ヒーターの温風に30秒程度あたってから血圧を測定すると、最高血圧がガクンと下がることに気付いたんです。

温風にあたって身体を温めれば、血管が拡張して血圧が下がるということは十分考えられます。

そこで、2月の下旬から3月の中旬までの間、以下の要領でデータを蓄積しました。
   (1)  起床直後に1回目の血圧を測定
   (2) 1回目の測定後、20~30秒ほど温風にあたって身体を温めた直後に測定
   (3) 2回目の測定から3~5分経過し、室温に身体が慣れた頃に測定

        ※ いずれの測定も、温風のあたらない場所で実施

結果は、残念ながらすべて予想通りではなく、日によってバラバラでした。そんな中でも、予想通りの傾向を示した典型例が何例かありましたので、次の図で紹介したいと思います。
暖を取ったときの血圧変化

典型例として示したのは、起床直後は最高血圧が高いが、身体が温まった直後には大きく下がり、室温に身体が慣れた頃にはある程度上昇するという傾向です。

測定したすべてがこのような傾向にならなかったのは、ほかの変動要因の影響を受けたのかもしれません。血圧というのは非常にデリケートなので、ちょっとしたことでけっこう大きく変動します。例えば、同じ測定条件で何回か繰り返し測定したとしても、あまり変化しないときもあれば、測定のたびにどんどん値が変化していくときもあるようです。また、心理的な動揺や緊張があった場合に血圧が高くなるのはよく知られた現象です。


今回の試みでは注目に値するような結果が得られず、言い訳に終始してしまった感があります。これに懲りず、今後も興味を持ったことに対しては科学的なアプローチを試みたいと思います。