古木の立ち枯れ事件2012年12月28日

テレビのニュース番組で、“神社のご神木とされている古木の立ち枯れが起きている”ということが取り上げられました。

報道された内容をかいつまんで箇条書きにすると、
 ・神社のご神木として大切にされてきた檜の古木
 ・樹齢が100~200年となった古木
 ・最近では、このような樹齢の木材が入手しにくい状況
 ・枯れ始めたころ、木材業者から売却して欲しい旨の申し入れあり
 ・古木の根本にドリルであけた深さ5cm程度の穴が10箇所以上あり
 ・警察に被害届けを出し、警察が調べたところ、ドリル穴付近に除草剤の
  成分
を検出
 ・1箇所だけでなく、四国~近畿の数カ所で同様な立ち枯れが発生
ということでした。

報道内容から私が連想したのは、“木材業者によるマッチポンプ事件”なのではないかということです。テレビ番組の構成でもそのようなニュアンスが出ていました。ここで、マッチポンプとは、“自分で火を付けて、自分で消火する”ということを意味し、「自分で原因を作り、そのことは素知らぬ顔をして、自分なら問題の解決ができるとアピールする」ようなケースでよく使われる比喩的な表現です。

ただ、マッチポンプ事件として報道するには、その根拠となる裏付けが現段階ではとれていないので、あくまでも警察の捜査結果待ちというスタンスで報道したのだと思われます。

もし、木材業者が自分の商売のためにこのようなことをしたのなら、日本人の道徳観の低下ぶりを表していると言えるのではないでしょうか。

日本人の道徳観については、東日本大震災のとき海外メディアから「このような状況になっても暴動が起きず、秩序が保たれているのは驚異的」と報道されたのは記憶に新しいところです。このような日本人の道徳観は、単に宗教上の教えのみによってできたものではなく、長年の歴史の中で、例えば武士道精神など、様々な文化に基づいて培われたものだと私は思っています。

まあ、ちょっと大袈裟な話になってしまいましたが、もし商売のためということだけでやったのだとしたら、嘆かわしい事件だと思います。


次の話はテーマから少し離れてしまいますが、同じ古木でも私有地にある天然記念物となった古木のことが別の番組で取り上げられていました。

天然記念物に指定されても、古木の維持管理に必要な費用については、所有者の負担になるのだそうです。自治体から多少の補助金みたいなものが出ることもあるらしいのですが、まるで雀の涙といった額だそうです。

このような古木の場合、台風のような強風で太い枯れ枝が落ちるなど、近隣に迷惑がかかることがあるため、維持管理がどうしても必要になるのだそうです。とくに、都市部における私有地の古木は問題になりがちとのことでした。

古木を維持管理するための費用が捻出できない状況なので、やむなく古木を切り倒す所有者が多くなってきているとの報道でした。


散歩の途中でも、私有地の大木が道路側まで大きくはみ出して繁っており、電線等の敷設に影響しているのを見かけます。(9月21日のブログを参照)

古木に限らず、大きくなった木の管理について考えさせられる報道でした。